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水素燃料電池は現代の化石燃料文明が持つ多くの弊害を克服することができるとの指摘もある。
さらにゴミ発電は新しい技術を使うため、技術上のトラブルが頻発している。
二○○三年八月一九日、三重県多度町の「三重ごみ固形燃料(RDF)発電所」で爆発事故があり、消防士二人が死亡した。
RDFの貯蔵庫にガスがたまり、それに引火したもようだ。
このようなトラブルの克服が今後の課題となる。
ネットによる分散処理型になったように、エネルギー源が分散する。
これによって、電源の集中立地が生み出す社会構造、具体的にはテロなどへの脆弱性、電力会社の独占の弊害、化石燃料の大量使用による地球環境の汚染などの諸問題が解決する。
また貧しい人が電源を得やすくなり、真の福利厚生の向上が世界各地で達成できる。
二○○三年五月にフランスで行われたエビアン・サミットでは、行動計画で水素エネルギーを使った家庭用自家発電装置、自動車燃料電池で国際共同研究を行うことが提唱された。
米国は二○○三年一月のブッシュ大統領の一般教書演説で、水素エネルギー研究の推進を表明。
同年六月にはエイブラハム・米エネルギー省長官は「水素経済のための国際パートナーシップ」(IPHE)を提唱。
日本でも二○○二年一月の施政方針演説で、小泉首相が燃料電池開発に国が援助する方針を表明した。
経産省は二○一○年に燃料電池自動車五万台、二○二○年には五○○万台の目標を立てている。
三菱総研が経産省の燃料電池実用化戦略研究会の導入目標値をもとに試算したところ、市場規模は二○二○年に九兆八七○○億円(定置燃料電池二兆三七○○億円、自動車七兆五○○○億円)になるという。
民間企業も積極的に対応している。
石油メジャーの一角、ロイヤル・ダッチ・シェルは五○年後の姿を水素企業に変貌させる意向だ。
二○○三年三月に、同社のフィリップ・ワシシ会長が米国のライス大学で講演し、「化石燃料は気候変動を引き起こす原因となる。
手遅れになる前に行動しなければならない」と、自らの存立基盤である石油に対して懸念を示し、水素エネルギーへの開発に全力を尽くすことを表明。
国際的な驚きを誘った。
国内メーカーの動きも活発だ。
トョタ自動車、本田技研工業の両自動車メーカーは、燃料電池自動車のリース契約を二○○二年三月から行った。
NECはパソコン内蔵の燃料電池を試作し、二○○五年には商品化したい考え。
新日本石油は国の行う定置式燃料電池の実用化試験に参加。
二○○五年までに発電能力一キロワットの家庭用燃料電池を商品化する意向だ。
将来的には「販売価格五○万円程度を目指しています」(広報部)との目標を立てている。
長期的にみて、水素エネルギーが社会を変えていくことは間違いない。
だが、その行く末とスピードはどのようになるのか、現時点では不透明だ。
一般の消費者が購入でき、社会に広がるめどはまだ立っていない。
さらに水素エネルギーがどのような負の側面を持つのかも分からない。
二○○三年六月一三日号の米科学誌『サイエンス』は、放出された水素の量が急増すれば、上空のオゾン層が破壊される懸念があるとのカリフォルニアエ科大学の研究者らの報告を伝えている。
国は自動車の搭載用に「水素・燃料電池実証プロジェクト」を行っている。
その事務局を財団法人日本自動車研究所が運営している。
同研究所のFC・EVセンターの技術参与、丹下昭二氏はこう語る。
「車の技術では『井戸からタンクへ』(言の二門。
弓目穴)と『タンクから車軸へ』(夢冒天弓。
三房の一)という考えで、エネルギー効率を考えます。
水素エネルギーはタンクに入れたら効率がいいが、燃料電池や水素の製造にコストがかかる。
一方、化石燃料は井戸からタンクの部分、つまり、採掘、精製、流通の側面では社会体制が石油のために作られているため、圧倒的に効率がいい。
社会がどの程度のスピードで変化するかが水素燃料の普及のカギになります」。
これらの新エネルギーは、地球温暖化を抑制するための有力な手段であることは間違いない。
そして、急速に伸びる一方で、定着までにはコストなどの問題を抱える。
京都議定書の義務が課せられる二○○八年からの第一約束期間までに大幅にコストが引き下げられ、エネルギー源の大半が化石燃料から新エネルギーに置き換わる可能性は低いようだ。
新エネルギーの定着は緩やかに進むと予想するのが、現実的な見方だろう。
温暖化対策の決め手はやはり原発ではないか。
異論はあるだろうが仕方がない」経産省や電力業界の人々と話すと、このような趣旨の意見を頻繁に聞く。
これまでみてきたように、民生・運輸の排出量を即座に大きく減らすことは難しい。
新エネルギーには期待があるものの、エネルギー源の中心に置き換わるには時間がかかりそうだ。
CO2を排出しない原子力発電に政策当局者や関係者の関心が向くのも当然の流れだろう。
一九九九年九月の茨城県東海村での原子力臨界事故、二○○二年八月に発覚した東京電力の原発トラブル隠しという不祥事は、全国の原発立地計画や、核燃料のリサイクルなど、国のエネルギー政策にも影響を及ぼしている。
国民からの原子力政策に対する厳しい批判の中で、京都議定書を原発推進のカードとして使おうとの思惑も透けてみえる。
経産省、電力会社、日本経団連は原発を語るときに、京都議定書の義務を持ち出すようになった。
発電に際して化石燃料を使わないために、原発のCO2排出量は少ない。
原発一基を作れば、九○年比で○・五,○・七%の温室効果ガスが減らせるとの推計もある。
「『取らぬ狸の皮算用』だが、原計画(二○一○年までに三一基建設)に一○基積み増せば、議定書の義務を達成できる」と話す政府関係者もいる。
ただ、この点については「海外での燃料のウランの採掘、再処理、原発の建設過程で必要なCO2を考慮して、慎重な検証が必要」(原子力資料情報室の勝田忠広氏)との指摘もある。
この批判の通り、地球全体の観点から分析することが必要だろう。
また、コスト面からのメリットもある。
「今ある」原発ならば発電コストは安い。
原発は大量発電・大量消費の現代のエネルギー需給体制に適している。
電力会社は即座にコントロールできない原発を稼働させて大量に発電し、火力発電で需給に合わせて調整するという発電方式を採用してきた。
原発を一基停止し、火力に置き換えると燃料費など一日一億円の経費が必要になるとされる。
不祥事により原発を使えなかった東京電力は、二○○四年三月期決算では、燃料費だけで一六○○億円のコスト増になる見込みだ。
ただ、原発をさらに作ることは世論と経済面の理由から難しくなっている。
新規建設の面では地元の視線が厳しい。
各地で原発をめぐる住民投票が行われている。
新潟県巻町で原発建設(九六年八月)、同県刈羽村でのプルサーマル(使用済み核燃料を再処理したMOX燃料を原発に装填する計画)実施三○○一年五月)の投票ではいずれも拒否が半数以上を占めた。
原発が現在の日本の発電量の三割強を占め、重要な電源であることは誰でも理解するだろう。
だが、「ノット・イン・マイ・バックヤード」(必要性は認めても私の家の庭先に作ってほしくない)という心理は、誰もが共有する。
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